| この家の家族は、昭和3年生まれの御祖父さんとお祖母さん夫妻、その娘さんとお婿さんに当たる建築主のご両親夫妻、そして、新婚の建築主夫妻です。そして、まもなく4世帯家族になる予定です。
コンセプトは、時代背景から来る省エネと、この家の家族構成から来る団欒でした。
核家族化が進み、若者は都会に流出し、どの農家も後継者不足で悩んでいる現代では、珍しい大家族の家です。若くてかわいらしいお嫁さんを迎えることを機に、100年経った家を解体して、家を建て替えようというのですから、家族がそれぞれの部屋にこもらないような団欒の場に気を使った室内空間にしたいと思いました。
そこで、一階の中心に居間を据えて、そこから、各個室に出入りするようなプランを作りました。
居間の中心付近に周囲のフロアとは約40cmほどの段差がある4本の柱で囲まれた4畳半の窪みを設けました。この窪みの真ん中には1坪四方の大きなテーブルを据え置き、そのテーブルを囲むようにベンチを置きました。ベンチは周囲のフロアより畳一枚分低くしておき、畳を敷けば周囲のフロアと高さが揃うようにしました。
通常の使い方は、畳を敷いたベンチに腰掛けて大テーブルを家族全員で囲むようにしてあります。こうすると、低い目線から家の中を見渡すこととなるので、家全体が広く感じられます。
しかし、田園地帯なので、地域の方々が集まったり、親戚が集まったりすることが時々あります。そういう時はこの段差を無くして、居間中がフラットになるようにしました。
テーブルの脚は真ん中で切断しているので、いったんテーブルを上に持ち上げて、下の足をはずして、再びテーブルを元の場所に置くと、テーブルの面がベンチと同じ高さになり、次に、テーブルの上に2枚の畳を置くと居間の床と平になります。
また、第一コンセプトである省エネのために、インナーテラスを南側の外壁内側に敷きこみました。インナーテラスの床仕上げは300角のタイルで、その下地は厚さ15cmのコンクリートになっているので、南側のサッシから入る太陽光が蓄熱され、夜間は放射されますます。もちろん、メイン暖房別に用意してあり、ここでは深夜電力を利用した蓄熱暖房機を選択しました。
これは、折からの石油価格高騰を受けて、将来は太陽光発電パネルを屋根に載せて、高くなるだろう電気代をいくらかでも節約しようという腹づもりがあったからです。
この4畳半の団欒スペースの真上は当初吹きぬけにしようと思っていたのですが、若夫婦のご趣味が音楽なので、音はさえぎるけれども、光も通し、歩けるようにということで、厚1cmのポリカーボネート板を細かく入れた根太の上に敷きこみました。
2階は若夫婦のスペースとなります。そう遠くもない将来、子供が生まれるだろうということで、子供室も用意しました。
夜勤の多いご夫妻なので、一階で寝ている家族を起こさないようにという配慮から、鉄骨で作ったらせん状の外階段を設けました。これは、いざというときの非常階段ともなります。
キッチンは、当初オールステンレスをご希望でしたが、予算の関係上、大工さんが腰壁を作るような要領で組み上げた壁の上に厚い合板を載せて、その上にタイルを貼りました。これで、オリジナリティーのある安上がりなキッチンとなりました。
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